トーキョー・コーラス1
日時・会場 出演者
4月24日(水)
吉祥寺・Star Pine's Cafe
ハンバート・ハンバート
キッチン(溝口こうじとゆかり)
矢舟テツロー
ソノラス



5月31日にミディ・クリエーティブから
CD【粒粒】でデビューが決まった
『キッチン』(溝口こうじとゆかり)


当夜は、あの大晦日の、我が(音楽)人生を根底から覆した(?)歴史的イベント以来の吉祥寺【スター・パインズ・カフェ】。 この日の【トーキョー・コーラス1】というイベントは、その大晦日のライブでも大きな感銘を与えてくれた【ハンバート・ハンバート】のメンバーが、今まで共演して仲良くなったミュージシャンに呼びかけて主催されたそうです。  

さて、個人的な当夜のお目当ては、勿論、その【ハンバート・ハンバート】と、今、僕が最も感動と興奮を覚えている男女デュオ・ユニットの【溝口こうじとゆかり】・・・改め【キッチン】です。  開演5分前に会場に滑り込むと既に中々の盛況ぶりで、なんとかフロア中央に一席ゲット。  お目当ての二組は後半に出演予定とのことですが、こういった【対バン形式】のライブは、お目当て以外のバンド(アーチスト)との出会いも楽しみなので、最初から参戦出来て、先ずは良かった、良かった。  

トップ・バッターは、【ソノラス】。 バンドなのか、と思いきや、ステージに登場したのは、年の頃にして20歳代前半の女性ひとり。 ということで、ピアノの弾き語りでした。   最初に2曲、スロー〜ミディアムのバラッドを歌います。  大貫妙子さんに似た声質の【ソノラス】さんですが、より逞しさがある、と言うか、もうちょっと太めの【芯】を感じさせる歌声が非常に印象的です。  只、3曲目に唄われた、昭和(大正?)歌謡風のオリジナルも含めて、最初の3曲は、いまひとつパッとしないというか(ゴメンナサイ)、何処か【カリモノ】なのかなぁ?と思わせるところがありました。 しかし、4曲目から、【ソノラス】さん自身も、心と体と喉の調子が暖まってきたこともあるでしょう、歌声とピアノ演奏に【芯の強さ】を感じさせる訴求が出て、特に、4曲目に披露された『シズク』という楽曲は、歌詞、メロディ、歌、そしてピアノ演奏と、すべてが何か有機的に噛合うような、心にグッと迫ってくる、凄味と切実さを放っていました。 まるで悠久の調べのように響くピアノが、80年代初頭の【アンビエント・ミュージック】・・・イーノやペンギン・カフェ・オーケストラ・・・を彷彿とさせたのも面白かったです。  【ソノラス】さんは、開花寸前の秘められた才能を持ったミュージシャンだと思います。  これからも注目したいです。 

続いてもピアノ弾き語りで、矢舟テツローさんが登場。 ステージは、自己のピアノを中心に、アコースティック・ベースとドラムを加えたトリオ編成と、女性コーラスの4人で進行。  オープニングは、『イタリアン・トラットリア』〜『パスタ・ブルース』の二曲、【イタ飯モノ】ジャンプ・ナンバーのメドレー。  初めて知るミュージシャンだったのですが、キャリアも人気も相当あるようで、会場にも多くの根強いファンと思しき観客が多く詰め掛けていました。  演奏は、ジャズの影響を感じさせますが、なんとなく、ジャズそのもの、というよりは、ニューウェーブ〜パブロックの辺りの、ジョー・ジャクソンとか・・・に影響された、といった印象があります。  その後、4曲ほどオリジナル曲を演奏してくれ、兎にも角にも、楽しくて、ウキウキさせる音楽性が印象に残りました。  それから、音楽とは関係有りませんが、当日配布されたチラシに、演奏曲の全曲の歌詞、バンド・メンバーの名前が丁寧に書かれていて、自分達の音楽をとても大切にしているな、『自分達の音楽を聴いて欲しい』と真摯に思っているんだな、と感じられました。  当たり前のようですが、こういうことって中々出来ないんですよね。 矢舟さんに熱心なファンが多いことが、肯けます。 もう少し小さめの箱で聴いたら、また違った印象があるかな、とも思ったので、又、機会を作って聴いてみたいです。

さあ、ここで、いよいよお待ちかねの【溝口こうじ(g/vo)とゆかり(vo/たて笛)】・・・改め、【キッチン】の二人が登場。  メイン・ステージ上では、バンドの機材チェンジが行われた関係で、ステージ前方に特設されたサブ・ステージでのパフォーマンスです。 最前列の観客とは、文字通り【膝詰め】といった位置関係で、妙に迫力があります。  【キッチン】のライブは、大晦日、2月23日、そして、この前週の吉祥寺ストリートと、今まで3回聴いていますが、当夜は、CD発売直前という良い意味での緊迫感もあるのか、今まで以上にグッとくるライブでした。  【キッチン】の最大の魅力は、思わず脱力してしまう【ヘナチョコ】な雰囲気な中に、筆舌に尽くし難い、圧倒的な【切なさ】・・・それは、【喜び】と【哀しみ】、【温もり】と【孤独】が表裏一体であるという、生きていること自体の普遍的な【切なさ】・・・を感じさせてくれるところです。  特に、ゆかりさんのボーカルが持つ【強さ】と【儚さ】は、一体、これは何なんだろう?、何故こんなに儚いのに強いんだろう?・・・と思わずには居られません。 凄いです、本当に。  この二人には、今の所、言葉が無いって言いますか、降参、白旗、無条件降伏の黄色いハンカチであります(笑)。 因みに、5月20日(月)には吉祥寺【曼荼羅】でライブがあるそうです。 又、先ほどから話しが出ているデビューCDは、我が敬愛するエンケンも所属する【ミディ・レコード】のインディーズ・レーベル、【ミディ・クリエーティブ】から5月31日、発売とのことです。 是非、是非、適当な数の人(笑)に聴いて貰いたいものです。

そして、トリは【ハンバート・ハンバート】。  大晦日、そして2月23日のライブに続いて、僕にとっては3回目の【ハンバート・ハンバート】です。  今までは、男女のアコースティック・デュオにゲストとしてフルート奏者が入った編成でしたが、当夜は、更にアコースティック・ベースとドラムが入り、男性メンバーの佐藤さんも、エレキ・ギターを弾いたりと、ちょっと変わった印象を受けました。  【ハンバート・ハンバート】の魅力も、【キッチン】と同様に、【切なさ】や【儚さ】がキーワードになると思っているのですが、【キッチン】の【切なさ】が【人間が生活する中】に存在する【切なさ】とするならば、【ハンバート・ハンバート】の【切なさ】は【人間が思索する中】に存在する【切なさ】という感じがします。  【キッチン】には“ギューッ”と心を掴まれ、【ハンバート・ハンバート】には“キュン”と心を掴まれます。  女性ボーカルの佐野さんの歌声には【危うげな儚さ】を感じますが、やはり【強さ】もあると思います。  例えて言うならば、【キッチン】のゆかりさんの【強さ】には、ネガティブなものをを粉砕する骨太さがあり、【ハンバート・ハンバート】の佐野さんの【強さ】には、ネガティブなものを飲み込んで消化してしまう大らかさ(母性ってやつでしょうか?)を感じます。  佐藤さんの男性的な強さと優しさに満ち溢れた歌声も魅力的で、ホントに良いデュオ・チームだと思います。  セカンドCDの制作も予定されている、とのことで、やはり、今後も絶対に目が(耳が?)離せない人達です。  

【トーキョー・コーラス1】というタイトルからすると、【2】、【3】・・・とシリーズが期待出来そうですが、是非、今後も定期的に開催して欲しいところです。  活動は何かと大変でしょうが、当夜登場した皆さんの今後の活躍を期待しています。