| 日時・会場 | 出演者 |
| 5月3日(金・祝) 吉祥寺・SOMETIME |
酒井俊(vo) 吉田桂一(pf) 竹内直(ts、fl) |

『四丁目の犬』
酒井俊(ssレーベル)
【吉祥寺音楽祭】終了後、これじゃオサマラナイ、とばかりに延長戦です(笑)。 しかも、酒井俊さんのライブです(爆)。
酒井俊さんは、その筋の(?)音楽(ジャズ)関係者、ファンからコアな人気を誇る男性シンガー、ではなく、女性シンガー(ここは笑うところ)。 で、個人的な話しで恐縮ですが、僕は数年前に俊さんのライブに一度行ったことがあって、その時、ちょっと色々とナニがナニで(?)、僕も若かったこともあり、とても悪い印象を彼女から受けました。 しかし、恐らく、今現在、俊さんを聴いたら、きっと素晴らしい、と再認識出来るに違いない、と思い、早速、SOMETIMEへ。
この日の共演者は、僕の密かな(?)お気に入りの吉田桂一さんと竹内直さんです。 この2人のデュオと俊さんのボーカルの絡みも楽しみ。 ライブは、ファースト・セット、先ず、ピアノ&テナーのデュオで、ビ・バップ曲(タイトル失念)からスタート。 いやぁ、もぉ〜、最高です、良いです、スンバラシイです。 その後、『オール・ザ・シングス・ユー・アー』等、更に2曲。 直さんのテナーは、僕のGスポット直撃の【切なさと逞しさ】の渾然一体! 直さんが綴り出すフレーズや間合いは、ジンガイが逆立ちしても実現出来ない世界ですね。 これぞ、ワン&オンリー。 吉田桂一さんは、いつものバッピッシュで、グルービーな、思わず両膝がバタツイテ、ケツが浮く、あのご機嫌な感じを残しつつ、サックスとのデュオということもあって、より広いスペース感を保ちながら、ユッタリとしたピアノを聴かせてくれます。 直さんのソロから転換してピアノ・ソロになると、その傾向は更に強くなり、鍵盤の幅(音幅)を有効に使った広い音楽世界が展開されました。
僕は、日本のジャズメン(特にピアニスト)とアメリカの(黒人)ジャズメンの大きな違いは、スイング・エラ前後のスタイルの消化具合だといつも思っています。 日本のジャズメンは、どうしてもビ・バップ以降か、人によってはビル・エヴァンス以降しか勉強してない場合も多いです。 ところが、あちらのジャズメン(ピアニスト)は、総じてスイング以前の古いスタイルもバッチリ身に付け、自分の血肉にしている。 昨年末に聴いたデビッド・ヘイゼルタインや、年初にエルビン・バンドで聴いたアントニー・ウォンジーなどもそうでした。 で、当夜の桂一さんは、ストライド・ピアノ風なタッチから、アール・ハインズみたいな感じも醸し出していて、うぁ〜っ、やっぱりスゲ〜やぁと思われました。 吉田桂一さんのようなジャズメンは、本邦ジャズ界にあって、本当に貴重な存在だと思います。
さあ、ここで、いよいよ酒井俊さんの登場。 数年前のライブで拝見したときは、なんか気の良いオバチャンという感じがしたのですが(失礼)、久しぶりに拝見したら、なんだか、とても若々しくなっていて、イメージとしては、木の実ナナと欧陽菲菲をミックスさせた感じですね・・・って、ちっとも若々しくないか?(失礼・・・、でも木の実ナナさんって好きよ)
一曲目は、トム・ウェイツがデビュー盤に入れていた『グレープフルーツ・ムーン』。 いやあ、いきなり、こういう選曲で来ますかぁって感じで、参っちゃいますね。 ちょっと擦れ気味のハスキーな歌声で、曲の輪郭の外側を優しく撫ぜるように唄いまわしていく俊さん・・・んにゃ〜、スンバラシ〜じゃあ〜りませんか? これがジャズ・ボーカルか否か、とか、そういう不毛なポイントは、ホントにどーでもよく、兎にも角にも、このワン&オンリーな歌世界にドップリと身を任せるのみです。 曲目をメモしていなかったので、ちょっと記憶が曖昧なのですが・・・実は、デュオ演奏だけで、あまりの気持ち良さにキープ・ボトルで相当行っちゃってたもんで、酔っ払ってたのよね(笑)・・・『ハニーサックルローズ』などスタンダード曲も唄われていました。 ジャズ・スタンダードを唄っても、俊さんは、スイングして良い歌、聴かせてくれます。 そして、なんと言っても、竹内直さんのテナーが、俊さんのボーカルに優しく、時にエロチックに絡んでいく様がタマリマセン。 又、印象に残ったのは、チリの軍事政権下、歌で圧制に対抗し、最後には処刑されてしまったヴィクトル・ハラのオリジナルに、俊さんが日本語訳詞をつけた曲で、これには、本当に【音楽の力】、【歌の力】を痛感させられました。
セカンド・セットは、再びピアノ&テナーのデュオでスタート。 ビ・バップ・ナンバー(タイトル失念)と、そして、そして、なんと、あのシナトラの名唱でも知られる名曲『オール・ザ・ウェイ』と続きます。 も〜、『オール・ザ・ウェイ』での直さんのテナー、タマラナイっす。 【顔はニヒルで、しかし、心は泣いているんだぜぃ】・・・という、えも言われぬ【男心】を代弁してくれるかのような、その吹奏には、酔いも手伝って、思いっきりスッポンポンになっちゃいたいくらいの感動を覚えます(意味不明)。
ここで、俊さんの出番となり、いやはや、も〜っ、ここからは俊さんの独壇場です! 三輪(丸山)明宏さんの名曲中の名曲、これで泣けなかったら、日本人を止めたほうが良い! そうです、『ヨイトマケの歌』の登場。 直さんはフルートに持ち替えて、童心にかえったような無邪気さと、【ヨイトマケの子供】と馬鹿にされた寂しさを切なく語るようなプレイ。 セカンド・コーラスでは、思わず店内一斉に『エ〜ンヤコ〜リャ』の大合唱。 そして、最後はお待ちかね、有線放送でもヒットした『満月の夕べ』。 ひゃあ〜、も〜、ちょっとぉ〜、俊さん、こりゃズルイで〜っ。 筆舌に尽くし難いというのは、こういうことを言うのでしょう。 酔いも手伝って、もう僕は、あまりの感動の為に、SOMETIMEお馴染みのレンガのテーブルに自分の頭をガンガンと打ち付けたくなっちゃいました(その寸前だったんです、真面目な話し、こういう体験は初めて)。
そういうわけで、セカンド・セット終了時には、まるで茫然自失になってしまい、もはや、これまで。 サード・セットは聴かずに退散して参りました。 もう、本日は、高田渡と酒井俊の2メガトンをシコタマ喰らって、ヘロヘロになりました。 参った、参った・・・。