| 日時・会場 | 出演者 |
| 4月28日(日) 上野・水上音楽堂 |
PANTA&石塚俊明(頭脳警察) 佐渡山豊 遠藤ミチロウ |
コンサートのチラシより
この日は、上野の不忍池・水上音楽堂での『命(ぬち)どぅ宝・平和世コンサート』。 沖縄からの米軍基地撤去を求める署名活動等、様々な平和運動を行っている【命(ぬち)どぅ宝ネットワーク】が主催するコンサートで、今回が13回目とのことです。 【命(ぬち)どぅ宝】とは、沖縄の言葉で【命こそ宝】という意味だそうで、年年歳歳、【命】が軽んじられるようになりつつある世の中には、より一層、重みを持つ言葉だと思います。 2月の【エンケン・PANTAジョイント・ツアー】のライブの際、チラシを貰っていて、その時から非常に楽しみにしていたコンサートです。
さて、【水上音楽堂】は、毎夏、【上野JAZZ INN】という台東区主催のジャズ・フェスティバルの会場にもなっており、馴染みの場所ですが、この2〜3年は来場していなかったので、なんとなく久しぶりだなぁ。 全席自由とのことで、早めに入っていたほうが良いだろうと、開場15分前の13時15分に到着。 いやはや、【夜回り】が得意な(?)僕としては、この時間はキビシイです、真面目な話し・・・。 到着すると、会場の前には開場を待つ観客の列が約30メートルくらい出来ていました。 予想より客が少ないなぁ・・・。 その脇では、PANTAさん所属事務所のHPに書き込みを拝見したことがある、高橋よしあきさんが、【勝手に前座】と称してストリート・ライブを展開中。 【頭脳警察】の『さようなら世界夫人よ』等をギター弾き語りで聴かせています。 歌詞やメロディを独自なものに変えていたのが印象的でした。
そうこうするうちに開場となり、入場。 水上音楽堂は、ステージだけでなく、観客席にも屋根が設けえられていて(昔は無かった)、【西武ドーム】のような、半分だけ野外といった感じです。 観客席全体に満遍なく客が入っていたので、ガラガラ、というイメージは無かったのですが、各人が間隔をおいて座っており、後々聞いたところによると、入場者は600名程度だった、とのことです。 こういう言い方は厳しいかも知れませんが、やはり、このメンツでの集客力は、今現在、このくらいなんだろうなぁ・・・。
さあ、先ずはトップ・バッターで遠藤ミチロウさんが登場。 ミチロウさんのライブを観るのは、あの大晦日以来、2回目です。 ミチロウさんがステージに登場すると、天井が開けた部分から、スーッと冷たい風が吹き込みます。 ミチロウさんがエモ言われぬ緊張感を運んできたかのように思えます。 黒いアコースティック・ギターを抱えて、『父よ、あなたは偉かった』からスタート。 いやぁ、もぉ、凄い、凄い。 いきなりのスパーク、スパークで、ギターの弦が切れまくります。 凄い緊張感と迫力のパフォーマンスから、MCになると、なんとなくホノボノとした雰囲気を漂わせるから、ミチロウさんには不思議な魅力を感じてしまいます。 『ここは屋根があるんで・・・、なんか、サッカー場のスタンドで唄っている気分ですねぇ(笑)』・・・。 3曲ほど唄ってから、『え〜っ、ここで NOTALIN'Sになります(笑)』。 と、次の瞬間、ステージに飄々とした風情でサングラスの石塚俊明(TOSHI)さんが登場。 客席から『トシ〜〜〜ッ!!!』の大歓声が挙がります。 ところが、ミチロウさん、まだTOSHIさんが出てきてないと思ったらしく、『え〜、それでは・・・』とステージ脇に視線を向けて、TOSHIさんを探している模様。 『・・・(居ないな・・・)??? 石塚俊明!』と紹介した時には、既に後方のドラムセットにスタンバってたTOSHIさん、ドラムを2〜3回、ボンボンと。 『ありゃりゃ、もう出てきてたのかぁ?!』といった風にビックリのミチロウさん。 妙にホノボノしたNOTALIN'Sのオヂサン2人・・・。 しかし、一旦、演奏を始めると、これがスゲ〜ッの何の。 『天国の扉』のミチロウさんバージョン他、3曲ほどをNOTALIN'Sとして演奏。 TOSHIさんは、爆裂するようなドラム強打と、繊細なシンバルワーク、そして、的確なリム・ショット等、ドラマーが本来あるべき姿・・・演奏にスペースを与える演出・・・を見せてくれます。 これは凄いです。 TOSHIさんの幅広さ、懐の深さを垣間見た感じがします。 ミチロウさんもそうですが、凄まじい瞬発力を発揮するテンションの高さと、沸点に上り詰めるスピードには完全KOされます。
短めのセット転換を経て、続いては佐渡山豊さんが登場。 佐渡山さんのことは、勉強不足で、このコンサートで初めて知った次第。 佐渡山さんは、70年代初頭、【沖縄フォーク村】の初代村長として活躍され、その後、東京でも【海援隊】等と活動されていたそうですが、70年代後半、突如音楽活動を停止。 そして、約20年後の90年代半ばから活動を再開し、最近は精力的にライブ活動やCD発表を続けてられているようです。 沖縄フォーク界の伝説的シンガー、佐渡山さん、恐らく、【仙人】のような風貌で登場するか、あるいは、琉球伝統の衣装を思わせる井出達か・・・と勝手に想像していたのですが、なんと、上下真っ黒のスーツに、プレスリーがしてそうな長いマフラー(ワインレッド)、そしてサングラスという、超カッコイイ、硬派な姿・・・端的に言うと、【ヤ】方面の方のような風情・・・で登場。 いやぁ、なんか、夜道でこういう人とは擦れ違いたくないなあ・・・(笑)。 エレベ奏者の石井まさおさんとデュオで、アコギの弾き語りを続けます。 その歌の世界は、雄大さと繊細さが渾然一体となった独特な味わいがあり、イタズラに【沖縄】を思わせるメロディは目立ちませんが、なにか【土】の手触りと【潮(海)】の香り、そして、【大空】の風を感じさせます。 途中、ゲストとして、再びTOSHIさんが登場。 爆発的なドラミングで、佐渡山さんの歌世界を盛り上げます。 最後は、勿論、佐渡山さんの代表曲、『ドゥチュイムニー(独り言)』で、屏風のような巨大な歌詞カード(?)を、モニタ・スピーカーに立てかけ唄う佐渡山さん・・・全編を唄うと2時間くらいになるそうです・・・。 場内大喝采の盛り上がりのうちにステージ終了。 僅か40分弱のステージでしたが、又、改めてジックリ聴かせて貰いたいと思いました。
そして、トリで登場するのが、【頭脳警察】・・・と言って良いのか?・・・PANTA&TOSHIです。 TOSHIさんのドラム・セットがバラされ、ステージ前方にパーカッションがセットされます。 さあ、いよいよ・・・という時、突然、真っ黒なカラスが、会場内に飛来し、天井に留まって、クァ〜ッ、クァ〜ッ。 う〜ん、なんか、この不気味な雰囲気が、なんとも言えないですなぁ。 おっと、すると、唐突にPANTA&TOSHIが、若いメンバー、藤井一彦(g)とJIGEN(b)を引き連れてステージに登場。 場内から、プァントゥワ〜!!!との絶叫が。 PANTAさんは、2月に見た時に比べて、なんとなく、より一層、物理的に丸くなった・・・って言うか、なんか肥大した・・・感じがして・・・昼間の明るい所だったから目立ったのか?・・・、ええっ? そうなんだぁ???と、正直、焦ってしまいました(笑)。 TOSHIさんは、佐渡山さんのステージまではサングラスをかけていましたが、ここではサングラスなしで、なんか妙に嬉しそうな笑顔が印象的。
で、オープニングは、【頭脳警察】のファースト&セカンド・・・共に発禁でしたね・・・に収録されていた『暗闇の人生』。 いきなり、これか?って感じです。 PANTAさんもTOSHIさんも、なんかエライ楽しそうで、率直な印象として『明るくて、元気の良い、ポジティブなオヂサン達』という雰囲気がしました。 昔からのファンの方々には、こういう『丸くなった』感じの彼等の姿には、もしかすると耐えられないものがあるかも知れません。 しかし、極々最近になって聴き始めた僕としては、50歳を越えた彼等が丸くなるのは当然だと思いますし、特に、PANTAさんは、30年前、尖った、過激なイメージが付きまとっていたようですが、その頃の歌も良く聞くと、メローでセクシーな部分が多くあるし、何よりユーモアも感じられたし、あの当時の歌から、【時代】というファクターを取り去り、【30年】という【歳月】を加えたら、今、目の前で歌われている【PANTAの歌】も、理解出来るのではないか?とも思えます。 なにより、20歳ソコソコだった当時に作って唄っていた、その歌を、50歳を過ぎた彼が、21世紀の今、再び唄っている・・・一体、どんな気持ちで、何を思って???・・・と考えながら聴くことは、非常に興味深い体験です。 勿論、『昔と変わっちまった、こんなんじゃ駄目だ!』・・・という聴き方も、理解出来ます。 やはり、音楽はイキモノ、歌はイキモノ・・・変わってしまう部分、そして、変われない部分、変わらない部分・・・色々あると思います。
『歴史から飛び出せ』、『万物流転』など、新旧の【頭脳警察】のレパートリーを交えながら、僅か30分強のステージで、ちょっと物足りないものがありましたが、逆に言えば、『もっと聴きたい!』と思わせるステージで、これは、これで良かったのかも知れません。 僕は、先ほども書いたように、極々最近のファンなので、【頭脳警察】、あるいはPANTAというアーチストに、特に何かを期待している、というわけではありません。 僕としては、イイトシしたオヂサン達が(失礼)、【30年前】を再現しようとか、そういう助平根性なしに、【50歳のロケンロール】を楽しく、元気よく、『若い奴等には、まだまだ負けねぇゾ!』とやっている、それだけで充分です。 僕は、そこに、そこにこそ、音楽というイキモノ、音楽家というイキモノの説得力を感じます。 これからも、PANTAさんの活動をフォローしていきたいです。 又、今回、3時間のステージのほぼ全編に【助演】的に登場しつつ、実は、音楽的には【主役】と言って良い活躍をしていたTOSHIさんには脱帽しました。 今後も、様々なユニットで、出来る限りTOSHIさんを追っ駆けたいものです。
最後に、メッセージ色の強い趣旨のコンサートながら、『平和』云々と押し付けがましい雰囲気を出さずに、あくまでも【音楽】にメッセージを込めていこう、という姿勢を貫かれた主催者には感じいりました。 お説教のような演説があるのでは・・・なんて思っていたのですが、そういったものは皆無で、それ故に、逆に当日配られたパンフレットをシッカリと読んでしまいました。