日時・会場 出演者
5月4日(土)
渋谷・BABY TALK
三槻直子(vo)
伊原康二(Org)
田鹿雅裕(ds)



『ア・ソング・オブ・ア・ドルフィン』
三槻直子(スイング・キャッツ・レコード)


渋谷という街は、滅多に行かないのですが、先日、【FIFAワールドカップ・オフィシャル・ショップ】の東京店に買い物があって、若いモンで溢れる(笑)スペイン坂をトボトボと歩いていると、坂の中ほどに、ジャズ・ライブのお店、【BABY TALK】を見つけました。 同店は、ジャズ・オルガン奏者の伊原康二さんのお店で、以前より、ジャズ誌などで紹介されており、オルガン・ジャズが好きな僕は、一度行ってみたいなぁと思っていたところです。 へ〜っ、此処にあるのかぁ、と坂からチラリと見上げると、なにやら、とてもお洒落な雰囲気。 とてもエエ感じ。 こりゃホントに近いうち一度お邪魔したいなぁ、と思ったら、黄金週間に、ボーカルの三槻直子さんが出演される、とのことで、早速、やって参りました。  

さて、入店すると、カウンタ席の三槻さんが笑顔でウェルカムカム。 お店の広さは、広過ぎず、狭過ぎず、という程よい感じです。 ステージが客席から一寸奥まった位置に配置されている為、【膝づめ】のように肉薄する感じはありませんが、逆に【客席】と【ステージ】の相対関係が、丁度良いスペース感を持っていて、リラックスしてライブが楽しめるお店だと思いました。  黄金週間の只中ということもあってか、お客さんの出足はどうかな?と思ったのですが、ファースト・ステージが始まるころから徐々に来店者が増え、途中から来店のお客さんが席が無くてお帰りになる、といった程の盛況ふり。  渋谷という場所柄からか、デート帰りの20歳代前半(もっと若い?)と思しき、【渋谷系】(?)のカップルや、ガイジンさんのお客さんが多かったのが印象的でした。  

窓から外を見ると、直下にはスペイン坂があって、若者達が闊歩して行きます。  若い人にとって、こういう、『手に届く位置』に【ジャズ】があるって、良いですね。 【ジャズ】(音楽)に限らず、何事にも通じて言えることですが、幾らマスコミや何やらが旗を振ったところで、身近に無ければ、流行るわけないし、成熟するわけないんです。 【サッカー】だって、欧州や南米の選手が天才的なのは、生まれて直ぐに、身近にサッカー・ボールがあるから、ですよね。  因みに、【BABY TALK】には、面白いことに【学割】の制度があって、学生さんは、チャージが半額になるそうです。 こういうのも良いですね。

ライブは、先ず、伊原さんのハモンド・オルガンと、田鹿雅裕さんのドラムによるデュオ演奏からスタート。  若手のオルガン奏者の中には、ベースを弾かない人もいますが・・・それは、それで新鮮な感じがして好きですよ・・・、伊原さんは、ベース・ペダルを踏みながら演奏するので、デュオと言っても、物凄い広がりと厚みを感じさせてくれます。 曲はスタンダード中心ですが、お客様からの通好みなリクエストもあり、中身の濃い〜演奏となりました。  又、伊原さんがCDに参加したという、大野雄二さん作曲の『ルパンIII世』のテーマも披露され、否が応でも盛り上がります。  この年代では最高のジャズ・ドラマーの一人と言える田鹿さんもバツグンにスイング!  ジャズの楽しい部分、エキサイティングな部分が存分に味わえます。

続いて登場の三槻さんは、気さくで飾らない、ハッピーな人柄そのままを感じさせてくれるステージング。  耳の肥えたジャズ・ファン、関係者から圧倒的な支持を得ている、という三槻さんのボーカルは、流石だぁ!、と思わず唸らずにはいられないバツグンのテクニックと表現力が魅力的です。 そして、大きく、広く、実に気持ち良く突き抜けて行くようなスイング感には、も〜っ、タマリマセ〜ンの一言。  歌唱力、表現力に長けた若手シンガーが次々と登場する昨今のボーカル界ですが、三槻さんのキャリアに裏打ちされた【ワザ】と【味わい】は飛びぬけています。  

ちょっと話しが逸れるかも知れませんが、最近、興味があって、若手のボーカルをチョロチョロと聴いていると、上手いけれど、スイングしない・・・というボーカリストが多いんですね。  『スイングしなけりゃ意味がない』・・・とエリントンは流石に良いこと言いましたが、ホントに幾ら上手くても、【スイング】しないボーカルなんて、まるっきり感動しません。  当夜の三槻さんに代表されるスイングするボーカリストの方って、きっと【歌の掴み方】が上手いんですよね。  しっかりとグラブしているんだけど、それは余裕のある【抱擁】という感じで、【曲】を【歌】が包みこんでいるようなイメージがあります。  ところが、若手の(メジャーCDを出している)幾人かのボーカルを聴くと、圧倒的に上手いけれど、スイングしない。 結局、そういう人たちの【歌】は、【曲】を握り締めちゃってる。 下手したら、握り潰しかねない。 だから、スイングしないんです。  スイングしないボーカルって、ちょい聴きには良いけど、ズッと聴いていると(ライブの1ステージ、1時間とか)苛々します。  それに比べると、三槻さんのボーカルは、も〜っ、幾ら聴いても疲れないし、飽きないし、もっと、もっと〜っ、という気持ちにさせられます。 本当に、見事です。

・・・ということで、今回は、あまりの気持ち良さに、曲目のメモ書きもせず、スッカリ酔っ払ってしまい、細部をあまり覚えていません・・・ゴメンナサイ(笑)。  でも、まぁ〜っ、偶には、こういう時もあって良いでしょ?(自爆)  

最近、色々なジャンルの音楽・・・【ジャンル】という観念自体が無意味という気もしますが・・・を聴いていますが、他の音楽には感じ難い【ジャズ】だけが持つ美味しさって、やっぱり【スイング感】なんですよね。  理屈抜きに【スイング感】を味わいたい・・・、【スイング】ってどういうことか体感したい・・・、そういう時には、当夜出演した三槻さん、伊原さん、田鹿さんのライブは持ってこいです。  特に、当夜の渋谷・BABY TALKは、ジャズ店に対して一般の人(?)が持つ胡散臭いイメージが皆無のお店なので、ジャズ初心者の方にも良いと思います。 是非、一人でも多くの方に、ライブに足を運んで貰い、身も心もスイングしまくって貰いたいものです。